1月の苺のお話と感動エピソード

こんにちは、きむら農園いちご屋さんです。
オイラは青森県の南側だねと言われたことがある島根県の苺農家です。
たしかに、青森県よりは南側やけど北海道以外はすべて南になるよね。
もう少し地理を勉強しましょう。
で、話を戻すと
大阪から島根県にIターンして新規就農し、20年間イチゴを10,000株栽培しています。Uターンは出身地に戻ることだけど、Iターンは出身地からよそへ移住することです。残念なことに20年島根に住んでいてもよそ者だと定期的に言われてしまいます。
が、大多数は暖かく迎えてくれたので定住して第二の故郷として生活しています。今のところは。。

1月のこの時期は、島根県では天気の悪い日が多いので2日に一度ぐらいのペースで苺を収穫しています。
7時ごろに明るくなるので収穫スタートです。
オイラのところでは、苺着色は9分以上で収穫しています。9分とは苺の赤が90%以上赤くなっていることです。イチゴは、黄色い花が咲いた後に緑色になりそれから白くなり先端から徐々に赤くなっていきます。
地域によっては半分くらい白いのに収穫してしまい流通・保管しているうちに色だけが全体に赤くなるので味が良くないです。オイラのところは畑でじっくり赤くなるのを待って収穫します。ここ、山陰は天気が悪いので赤くなるのが遅い分、じっくりと糖度が上がるのでおいしいイチゴとなります。

朝の薄暗いときはこの色づき具合が分かりにくいので、夜が明けてからでないと収穫しません。
今は、まだ収穫量が少ないほうなのでよいのですが、春先に太陽が上がってしまうと農業ハウス内の温度がすぐに上昇し苺が傷みやすくなるので、朝は時間との戦いです。いよいよなら、LEDのライトを夜明け前の暗いうちから収穫します。
この、高設ベンチは長さが50mあります。両側にイチゴがぶら下がっているので全長では2200mとなります。東京ドームの外周を3周できます。
春は毎日、苺の収穫を東京ドーム3周分します。
収穫後も管理作業があるのでそれ以上歩きまくります。

何年か前に、収穫していると男性の方が苺ハウスに突然入ってきました。
観光農園ではないので、危険な場所があったり足元が滑ったり、ミツバチが飛び回ったりするので一般の方が入ってくると危ないので止めましたが、
その男性は血相を変えてオイラのほうに向かってきました。
これは、やばいぞ。事件発生だ!
と身構えたら
その男性の手には1000円札が握りしめられていました。
近くに来てオイラに
「い、いちごを何粒かでもいいから売ってほしい。お願いです。」
と言った。
雪の日が続くときはいちごの収穫が激減するので品不足になるときもあるんですが切羽づまった男性に詳しく話を聞くと
熱で何日も休んでいる孫娘がココの苺しか食べないんです。ほかの物は食べないので、どうか苺を数粒でもいいから譲ってほしいとのこと。
そこまで思って頂けることがとてもうれしかった半面
品不足にしてしまった事に反省しつつ
普通はハウス内での直売はしていないのですが特別にお分けさせていただきました。
20年苺を育て販売しているといろんな物語があります。
ほかにも、人生最後の。。。てのはまた、別の機会にお話ししますね。

ではまた。

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